講評(教育の観点から)


佐島群巳先生

佐島群巳 氏(東京学芸大学 名誉教授 / 帝京短期大学 名誉教授)

ビオトープは人間形成に欠かせない教育資源

 各受賞校・園の取り組みを拝見し、三つの感動を申し上げたいと思います。

 一つ目は、子どもの発想からビオトープが生まれ、子どもの発想でビオトープが広がっている点です。「園で生きものを探したい」「学校で生きもののすめる場所を作りたい」という子どもたちの、非常に率直で素朴な発想が個々の活動の大きなきっかけになっていました。

 二つ目は、先生方の願いがあふれているという点です。現代の子どもたちは、バーチャルな世界にどっぷりと浸かり疑似体験の肥大化が進んでいます。そうした中で、先生方は「もっと子どもたちに本物の体験をさせたい」「子どもが本来持っている感性と知性と社会的な行動力を身につけさせたい」という意欲をもち、ビオトープを通じた教育や保育に取り組まれていました。

 三つ目は、先生方が現代の子どもたちに求められる能力や人間力をきちんと認識し信念をもってビオトープを実践されているという点です。幼稚園や保育所等の場合は、子どもの、自然に親しみを持ち、自然を愛し、自然を大事にする、そして子どもの本来持つ感性を磨いていくことをねらいとして取り組まれていました。小中学校では、「自分たちの地域・ふるさとの自然を復活しよう、回復しよう」という態度の醸成、さらには、高校以上では「学んだことを、持続可能な社会をつくるために地域に活かしていく」という実践力の育成まで教育のねらいに込めて、教育が実践されていました。子どもたちに対して、知識だけではなく、体験を通じて態度や実践力が身につくようカリキュラムが改善され、展開されていたことがとても印象的でした。

 「子どもたちを支える先生」、「地域の方々」、皆が一体となって作り出した「生物多様性」、これらは子どもたちの人間形成になくてはならないものです。私はこれを「教育資源」と言っております。この教育資源を効果的に活かすために学校・園庭ビオトープがあるのです。今回印象的であった三つの感動と共に、この教育資源がより一層全国に広がることを願っています。

 

Copyright(C)2018 Ecosystem Conservation Society-Japan All Rights Reserved